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分野を問わず、実験や観測で得たデータの信ぴょう性を高めるものは客観的なデータです。改ざんされたデータや信頼できない機器によって得られたデータでは正しい結果とは言えません。
実験や観測の正当性・再現性について、日本のみならず世界を揺るがした問題があります。「STAP細胞論文問題」です。この問題が取りざたされたのは2014~2015年頃ですから記憶に残っている方もいるかもしれません。STAP細胞の論文に使われた画像が加工されたものであったことや、論文にコピーペーストの箇所が発見されたことなど、問題点が多く、ここでは全てを指摘しません。重要なのは個別の問題事案ではなく、「科学者が書いた論文に捏造されたデータが使用された」ということと、「問題を受けて科学者や研究員全体が受けた影響」という点です。
STAP細胞論文問題を受け、研究員や科学者たちには、論文を書く際に不正を行っていないことを示す誓約書を提出するよう求められることが増えました。忙しい中、時間を縫って、多数の論文を書かなくてはならない研究員や科学者たちは、必要な手続きが増えてしまったことに対して少なからず憤りを覚えています。
言うまでもなく多くの研究員・科学者は不正を行う気はありません。しかしながら、研究にもお金がかかります。場合によっては莫大な金額が投資されるため、研究員や科学者はそれに見合った「成果」を出さなければなりません。成果を出すことだけを重視してしまうと、STAP細胞の論文のように不正が行われてしまう原因となります。
他にも、社会的信頼が失墜することも大きな問題です。STAP細胞論文の著者が属していた研究所は、アジア初の基礎科学総合研究所として1917年に設立された、歴史のある国立研究開発法人です。しかしながら、騒動を受けてその名声は失墜してしまいました。幸いにも研究所そのものが解体されることはありませんでしたが、再発防止のための改革を行うなどの再編業務が行われ、その間は研究が止まってしまいました。
さらに、研究には国の予算、つまり国民1人1人の税金が使われています。そのような機関で不正が行われたということは、国民の税金を無為にしたのと同義です。これらの事実からも、不正行為は決して許されるものではないと分かるでしょう。
しかしながら、時には、本人にその気が無くとも誤ったデータをもとに論理を組み立ててしまうことがあります。過失であれば論文の誤りが許されるということはないため、そもそもデータに誤りがないよう、日ごろから計測に使う機械のメンテナンスと校正を行う必要があります。
実験や観測で使われる精密な計測器のメンテナンスや校正には、専門知識が必要不可欠です。そのため、専門の技術者を置くか外部に委託することがほとんどです。正しいメンテナンスと校正で、計測結果の正確さを担保することができます。これらの精密な計測器は新品を購入するととても高価です。そのため、中古品であっても需要があります。不要になった計測器は売買プラットフォームで他の団体に買取ってもらうことが可能です。